景気は上昇しても生活は下降する社会
政府は5月の月例経済報告で、景気は「緩やかに持ち直している」
と2カ月ぶりに景気判断を上方修正しました。
実際、為替相場は米国の金融緩和策解除の思惑から円安が一段と
進行しそうですし、株価も年初来高値を更新と日本の景気は上向きと
捉えることは出来そうな雰囲気に思えます。
ですが、企業は固定費となる人件費の上昇は依然慎重ですし
設備投資は「下げ止まりつつある」と国内消費を左右する指標には
一向に改善する兆しは見えません。
これまで、日本経済はデフレによって消費者物価が下がっていたので
名目賃金が下がっていても実質所得はそれほど変わらないという状態であったため
なんとか経済を維持してきました。
しかし、阿部政権が消費税を引き上げるためインフレ率2%を目標に
金融緩和を行いその効果が表れてくると、今度は実質給与が2%以上
上がらなければ実質的な生活そのものは苦しくなってきてしまいます。
では、果たして日本企業は給与を毎年2%上昇させてくれるでしょうか?
今、中国では人件費の高騰で企業がどんどん国外に流出していますが
同じことが人件費が安いとされる東南アジアのタイでも起こっています。
つまり、企業は、どんどん人件費の安い国に生産拠点を移すことで
利益を確保しようとしているわけで、もともと高かった日本の人件費を
上げようとするでしょうか?
大手企業は、今後も業績と連動できるボーナスで利益の還元を図るでしょうが
その恩恵を受けられるのは一部の人のみです。
デフレ経済では、節約することで家計を守ることができたのですが、
インフレ経済でも私たちは更なる家計のリストラを強いられることに
なりそうな予感をひしひしと感じてしまいます。