田舎のおっさんが思うこと

田舎に住むおっさんの独り言だと思って読んでください

リスクマネーに翻弄される日本経済

 

 ここ数日の日本経済は、世界的な金融緩和政策の影響による

リスクマネーに放浪され続けています。

 日経平均株価は、一昨日、7.3%も暴落し昨日は取引時間中の株価が

1000円も変動する波乱含みの展開となっておりここ半年の上昇相場に

冷や水を浴びせられました。

 日経平均が1000円以上値下がりしたのは、多くのヘッジファンドの決算が

6月というこで利益確定売りが最終日に一気に来たことと無関係ではないでしょう。

 

 それにここ半年の上昇相場は、金融緩和とアベノミクスへの期待感から

株価が上昇したプチバブルのようなもの。

 実体経済にともなった上昇局面ではなかっただけに、このような乱高下が

起こるのは想定の範囲内といえるのではないでしょうか。

 

 ここ半年の上昇相場の原動力となっていたのは、ヘッジファンドを中心とした

海外の投資資金であり、このような乱高下の中で巨額の利益を稼ぐ錬金術は

彼らの得意分野。

 これからも上昇相場が続くとしたら、このような乱高下が再び来ることは

覚悟しておかなければならないでしょう。

 

 ただし、アベノミクスによる期待感はしぼみつつある兆候も見受けられます。

 

 株価大暴落にともなって為替相場が急速に円高に進行していて、

昨日のNYの為替相場では1ドルが100円台にまで円高が進んでしまっていますし、

日本国債の長期金利は1%に跳ねがるなど日本経済を取り巻く環境に不穏な

空気が漂ってしまっているのです。

 

 リスクマネーは、その国の経済がどうなろうと利益が獲れるとなれば

流れ込み、利益が見込めなければ全て引き上げてしまいます。

 アベノミクスも実はそんなリスクマネーにただいいように使われた

なんてことのないように、早急に具体策を実行に移してほしいものです。

 

製造業はメード・イン・ジャパンへと回帰するのか

 

 不況と高失業率にあえいでいた米製造業が、今、復活の兆しを

見せつつあるようです。

 これは、コスト削減のため中国に進出していた企業が、

中国国内の賃金上昇と貧弱な品質管理、高騰する輸送費など

総合的に判断すると、国内製造とコスト的に大差がなくなった

ことによるもの。

 品質低下が、顧客の流出を招いていたこともあり、国内製造に切り替え

品質が向上すると、流失していた顧客も戻ってきたのだそうです。

 

 翻って、アジアに進出した日本の製造業は、米企業のように

国内へと製造拠点を戻すことがあるのでしょうか。

 残念ながら、日本の場合、アジアからの製造業の回帰は起こらない

といえるでしょう。

 なぜなら、海外に生産拠点を移した企業は、主に輸出企業であり

中国やアジア諸国からの輸送と日本から輸送にほとんど

コスト的な違いはありません。

 また、品質においても、管理技術を日本のスタッフがきちんと管理し、

現地任せにしないため品質の劣化も想定の範囲内で済むことが多いはず。

 更にいえば、日本の中核産業となった自動車業界あは、現地生産・現地販売

を基本線と考え世界各地に工場を分散させ輸送コストの削減とフレキシブルな

生産体制の構築に取り組んでいます。

 

 アメリカは、世界最大の消費地であり、製造業も国内での販売に

取り組めるので生産効率をあげれば製造業も国内に回帰することができるのですが、

日本の製造業の多くは最終的に海外へ輸出することで成り立っている企業が多く、

国内で製造するメリットがアメリカほど多くありません。

 もちろん、多くの雇用を生む製造業が国内に回帰するようになれば

日本経済も好転してくるのでしょうが、そのゆな状況になるまで為替が

円安に振れていたとしたら、その前に国内経済が悲惨な状況になって

しまっているのではないでしょうか。

 

 

貧困から向けだしにくい今の日本社会

 

 昨日、NHKで日本社会の貧困の特殊事情が紹介されていました。

 先進国で貧困が問題となるのは、仕事をしていない人達なのですが

日本では働く人の貧困率が先進国の中では群を抜いて高くなっているそうです。

 

 現実に日本の労働環境は、正社員の場合いでも過酷な長時間労働を

強いられますし、非正規の労働者は低賃金を補うため仕事を掛け持ち

しなくては生活が困窮してしまいます。

 

 もちろん、資本主義社会では、特殊な技能の持ち主や会社に利益を与える

一部の人に高い賃金を支払い、誰にでもできる仕事は低賃金で働くのは

仕方のないことです。

 しかし、現在の日本では貧困に陥った人がそこから抜け出すのが容易でない

ばかりでなくスラム街のような貧困の人が生活する場もありません。

 しかも、社会保障は1億総中流社会の時の制度そのままですから

貧困家庭にはその社会保障負担は重く生活保護基準を下回る収入でも

税の負担からは免れません。

 

 昔の日本のような一億総中流時代というのは、ある意味、歴史の中の

バブルのような時代であり、これかは江戸時代や戦前の頃のような

金持ちと貧乏人しかいない正しい資本主義社会の形に戻っただけとも

いえるでしょう。

  

 ”

”働けど働けどなお我が暮らし楽にならざりじっと手を見る”

 

 この詩を読んだの石川啄木という詩人ですが、経済大国といわれる

までになった現在でも社会の構造というのは基本的に昔とあまり変わっていない

ということなのでしょうか。

 

 

景気は上昇しても生活は下降する社会

 政府は5月の月例経済報告で、景気は「緩やかに持ち直している」

と2カ月ぶりに景気判断を上方修正しました。

 

 実際、為替相場は米国の金融緩和策解除の思惑から円安が一段と

進行しそうですし、株価も年初来高値を更新と日本の景気は上向きと

捉えることは出来そうな雰囲気に思えます。

 ですが、企業は固定費となる人件費の上昇は依然慎重ですし

設備投資は「下げ止まりつつある」と国内消費を左右する指標には

一向に改善する兆しは見えません。

 

 これまで、日本経済はデフレによって消費者物価が下がっていたので

名目賃金が下がっていても実質所得はそれほど変わらないという状態であったため

なんとか経済を維持してきました。

 しかし、阿部政権が消費税を引き上げるためインフレ率2%を目標に

金融緩和を行いその効果が表れてくると、今度は実質給与が2%以上

上がらなければ実質的な生活そのものは苦しくなってきてしまいます。

 

 では、果たして日本企業は給与を毎年2%上昇させてくれるでしょうか?

 

 今、中国では人件費の高騰で企業がどんどん国外に流出していますが

同じことが人件費が安いとされる東南アジアのタイでも起こっています。

 つまり、企業は、どんどん人件費の安い国に生産拠点を移すことで

利益を確保しようとしているわけで、もともと高かった日本の人件費を

上げようとするでしょうか?

 大手企業は、今後も業績と連動できるボーナスで利益の還元を図るでしょうが

その恩恵を受けられるのは一部の人のみです。

 デフレ経済では、節約することで家計を守ることができたのですが、

インフレ経済でも私たちは更なる家計のリストラを強いられることに

なりそうな予感をひしひしと感じてしまいます。

 

日本の農業が成長分野になるために必要なこと

 阿部内閣の成長戦略第2弾では、農水産業を成長産業と位置づけ

農業所得の倍増させるために、拡大が続く耕作放棄地を含めた

農地の集約化と企業が参入しやすいようにするための規制緩和を

実施すると発表しました。

 

 小規模農家や兼業農家の多い現状では、農産品を作るコストは

高くなりやすいですし、農地の集約化と耕作放棄地の有効活用は

日本の農業の競争力を高めてくれるでしょう。

 ですが、いくらの農地の集約化を図ったとしても、アメリカや

オーストラリアといった広大な土地を持つ国に日本の農業が対抗することは

不可能といえるでしょうし、途上国の農産品と価格で対抗することは

現実的ではありません。

 

 ですから、日本の農業を本当に成長産業としたいのらば、投資するのは

耕作地の集約などではなく、生産効率をより高めることのできる食物工場の

技術の確立なのではないでしょうか。

 

 現実にオランダは、国土面積が日本の50分の1しかなく、

低温で日照時間も恵まれない厳しい気候で人件費も日本より高い

にも関わらず農業輸出で黒字を出しています。

 

 オランダが農業で利益を上げているのは、高付加価値なものに

特化して生産しているというのもあるのですが、水耕栽培や養液栽培などで

生産性を向上させたりロボットを大幅に導入しコスト削減を図るなど

農業を製造業のような感覚で取り組んでいます。

 

 今、日本には、耕作放棄地も多くあるのですが、企業立地もままならない

工業団地も沢山あります。

 日本は、農業に適した国土面積がもともと少ないのですから、

どんなに集積したところでたかが知れています、

 しかし、製造業のノウハウを生かした食物工場ができれば、

耕作地は高さを活かせば膨大になりますし、なにより安定した生産が

可能になるはず。

 

 食物工場は、まだ生産できる品種も少なく現実的ではないのかも

しれませんが、農業の未来に投資するならばこのような分野に投資してこそ

農業を成長産業にできるのだと思うのです。

 

 

 

ついに日本にシェールガスの輸出が解禁

 アメリカ政府が、日本に液化天然ガスの輸出をついに認めてくれました。

 これは、資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとっては

エネルギー資源の確保というだけでなく、今後の資源価格の下落をも

見込める可能性があり、アメリカとの貿易不均衡の解消にも役立つ朗報と

いえるでしょう。

 

 アメリカ国内では、シェールガスの採掘により国内のガスの市場価格が大暴落

していますから、日本に売ることはアメリカにとってもメリットは大きいですし、

これで無理して中東の高い資源を買う必要性がなくなるわけですから、円安で

輸入品が値上がりしている私たちにとっても大きなメリットとなるはず。

 これにカナダからも輸入できれば、ロシアとの極東資源開発でも

価格交渉が有利に運べる可能性があります。

 

 現状の中東やロシアといった資源国は、その利益が国ももとなっておらず

世界経済にいい影響を与えているとは決して言えません。

 むしろ、先進国と呼ばれる国々が資源国となれば、その利益は

国民の生活コスト削減につながり、個人消費にもいい影響を与えるでしょうし、

購買力の増加は、製造業を中心として途上国の経済をも潤すと思うのです。

 

 最近の世界経済の成長は、アジアを中心とした途上国の発展が

担ってきましたがパイの大きい先進国の経済成長は途上国以上に波及効果が

大きく、分業化が進んでいる現状のグルーバル経済では多くの国にその富が

もたらされることでしょう。

 

 ですから、阿部政権も生活コストや企業のコストを下げる

エネルギーのイノベーションを成長戦略の柱として投資していけば、

日本経済も成長させ暮らしやすい国へと変わっていくと思うのです。

 

阿部政権の成長戦略第2弾は世界で勝てるのか?

 阿部総理が、日本経済を復活に導く成長戦略第2弾を発表しました。

 

 第1弾の成長戦略である「女性の活躍」を中心に暮らしに関する政策では

政策の狙いが的外れでかえって女性の社会進出を阻むのではないかと心配に

なりましたが、「世界で勝つ」をキーワードにした成長戦略第2弾もやはり

心許ない内容な気がします。

 

 第2弾の成長戦略は、

「インフラシステム輸出戦略」 

「世界に勝てる大学改革」

「クールジャパン戦略」

「攻めの農林水産業」

「民間投資の拡大」

「企業版特区の創設」

 

の6つを柱としているのですが、インフラシステム輸出戦略といっても

これまでのODAとは一体どう違うのかよくわかりませんし、クールジャパン戦略で

アニメやAKBで日本のイメージが更に向上するのでしょうか?

 

 世界に勝てる大学改革にいたっては、TOEFLを卒業要件にした

からといって英語が話せるようになるのかよくわかりませんし、

世界大学ランキングトップ100に入るを目標とする意味も分かりません。

 

  攻めの農林水産業でも、農地の集約でコストを削減するとしても、

コスト削減だけで輸出額を現在の2倍に拡大させることができるとは

とても思えませんし、6次産業化を強化は農家が経営に成功しなければ

所得を増やすことはできませんが、それが簡単にできれば農協がすでに

やっているのでは?と思ってしまいます。

 

 確かに私の意見は、揚げ足取りのようなもので、やってみなければ

わからないず、「行動なくして成長なし」という安倍総理の言葉も

納得できるのですが、どうも今回の成長戦略第2弾も官僚の裁量が大きく

復興予算と同じように全く違う使い道に使われてしまう気がするのです。

 

 「企業版特区の創設」や「リースを活用した設備投資支援制度」には

やや期待したいところではありますが、国内投資が特定分野のみに集中しても

その国全体の経済の底上げにはあまり貢献しないというのは、英国と米国で

証明済みです。

 

 もちろん、なにもしないで死を待つよりは、なんでもいいからやってみる

という姿勢は必要なのでしょうが、今回の成長戦略第2弾に関しては

具体的な政策がでるまで評価保留といったところですね。